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BEAMS土井地博×安藤美冬が語るこれからの働き方。
「LIFEとWORKの垣根はなくなる」

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大手町・秋葉原に誕生。「自分らしい働き方」を実現できるシェアオフィス

大手町と秋葉原、趣の異なる2つの街で同時オープンするシェアオフィス「LIFORK」。大手町は「Creative Platform~自分らしく、はたらく、つながる~」、秋葉原は「カウンターカルチャーの聖地で、はたらく、あそぶ」をコンセプトに、それぞれ街の特性に合わせた新しい「LIFORK(LIFE×WORK)」のスタイルを提案します。

4月2日のオープンを目前に控えた3月22日、LIFORK OTEMACHIでは、豪華ゲストをお招きしたオープニングイベント&レセプションパーティーを開催しました。「WORKとLIFEのこれまで、これから~WORK FOR A BETTER LIFE~」と題したトークセッションには、コクヨ株式会社クリエイティブセンター主幹研究員の山下正太郎さん、BEAMSコミュニケーションディレクターの土井地博さん、株式会社スプリー代表の安藤美冬さんの三名のゲストが登場。約90分に渡って行なわれた鼎談の模様をお届けします。

WORKとLIFEの垣根をつくらない。広がりつつある次世代の働き方

まずはコクヨ株式会社の山下さんが登場し、トークセッションのテーマであるWORKとLIFEの現状と、今後の展望を解説しました。山下さんは、グローバル企業の働き方とオフィス環境をテーマにしたウェブメディア「WORKSIGHT」編集長を務め、これまでに約30か国、50都市を訪問して研究を重ねてきました。

山下さんは、昨今のインターネットの発達によって広がりつつある「場所を選ばずに働く」働き方を踏まえたうえで、時代はさらに次なる新しい働き方への過渡期を迎えていると話します。その次世代の働き方というのが、副業を解禁する企業が増えたり、寿命が伸びて定年後の時間が増えたりしていることで広がり始めた「WORKとLIFEの垣根をつくらない」働き方。そう解説した山下さんは、「垣根のない働き方」をいち早く実践してきた人物として、土井地さんと安藤さんを紹介します。

コクヨ株式会社クリエイティブセンター主幹研究員 山下正太郎さん

土井地さんは株式会社BEAMSで宣伝・販促部門を統括し、さまざまな企画の仕掛け人として知られています。彼はここ10年ほど、BEAMSを「アパレルの会社」とは言わないようにしているそう。その理由を、商品力だけではなく「モノ、コト、ヒトを創る集団」であることを企業の強みとしてアピールするためだと説明しました。

グループ全体で2,000人以上が働くBEAMSには、早朝にサーフィンをしてから出社するスタッフ、アスリートとして『国体(国民体育大会)』に出場するスタッフ、さまざまなジャンルのコレクターとしての顔を持つスタッフなど、個性豊かな「LIFE」を送る社員が数多く在籍しています。

近年はスタッフの暮らしを紹介した書籍『BEAMS AT HOME』を刊行するなど、オフの生き方も含めてユーザーに提案するプロデュース集団として、それぞれの個性が活きる働き方を目指しているとのことでした。

株式会社BEAMSコミュニケーションディレクター 土井地博さん

一方の安藤さんは、大手出版社に新卒で入社後、30歳で独立。「どこでも仕事ができる時代になった恩恵をいちばん受けている世代の個人」と自称し、自宅も打ち合わせ先も、飛行機も新幹線も、すべてがオフィスであると言います。

仕事内容も執筆を中心に、商品企画、大学講師、テレビコメンテーター、イベント出演など多岐に渡り、「ひとつの肩書、ひとつの会社、ひとつの収入に頼るのではなく、自分のキャラクターを最大限に表現し、その縁のなかで生まれた仕事をやっていく」というスタンスで働いているとのこと。

そんな安藤さんがトーク内で挙げたキーワードは、ワークライフバランスならぬ「ワークライフブレンド」。すでに欧米などでは注目を集めつつある考え方だそうです。人間は誰しも、やる気がある面やだらしない面、やさしい面、意地悪な面など、多面性を持っているもの。安藤さんは「オンとオフをはっきり分けること自体が不自然だ」と、あえて境界をつくらないようにしているそうです。

株式会社スプリー代表 安藤美冬さん

「自分らしさ」が仕事を広げる。LIFEを見せる働き方

三人が自己紹介を混じえながら働き方の持論を語ったところで、本格的にクロストークが始まりました。口火を切ったのは山下さん。BEAMSがセレクトショップブームの牽引役として30年に渡り、若々しさを保っている秘訣を尋ねると、土井地さんは「スタッフのLIFEの部分を積極的に外に見せること」と答えました。

BEAMS本社で働くディレクターやプロモーション関係のスタッフは、感度の高さが業界で知られており、雑誌などのメディアで取り上げられることもしばしばあったそうです。あるときカルチャー雑誌『BRUTUS』の編集部から「自転車特集を制作するので、BEAMS社内の自転車好きを紹介してほしい」と協力を求められた際、土井地さんは実験的に、アルバイトを含む全社スタッフに呼びかけてみることにしました。

すると、想像していた以上に至るところから手が挙がり、最終的には店頭で働くアルバイトスタッフが誌面に登場することに。『BRUTUS』編集部からは「人材が豊富ですね」と驚かれる結果となりました。「あらゆるものが財産で、関わっている人すべてがBEAMSなんだなと思った」と、土井地さんは自身の価値観がここで変化したことを語りました。

これに対して安藤さんは、大手出版社時代にさまざまな才能を持った先輩がたくさんいたものの、業務以外では表に出られなかったと、会社のスタンスの違いを紹介。小説家の平野啓一郎さんが提唱する「分人」の概念を例に挙げ、親であり、子であり、生活者であるといった人間の多面性も、働き方のなかで活かしていくべきではないかと意見を展開しました。

これに呼応して山下さんも、最近の海外では多面性を意味する「プルーラル」という言葉を見聞きする機会が増えていると発言。自分をありとあらゆる方向に広げて、新しいものをつくっていこうという風潮ができつつあると、世界の働き方のトレンドを解説しました。

常に「HOW」を問い続ける。幸せに働くために必要なこと

フリーランスとして独立してからは「個人がメディア化する」ことが重要だと考え、積極的にSNSを活用していた安藤さん。しかしこの2年ほどでSNSからは段階的に距離を置き、現在は一切の発信をやめているのだと話します。

その理由について山下さんから問われると、安藤さんは「フリーランスで働く人々にとって発信はライフラインだと主張してきたので、無責任なのではないかと葛藤があった」と正直な気持ちを吐露しつつも、「この数年で時代の流れが変わり、別の働き方を模索したいという気持ちが湧いてきた」と回答。

そうした心境の変化には、周囲の影響もあったそう。会社を上場させて海外移住した人、フリーランスになったものの組織でやりたいと会社員に戻った人、はたまた陶芸家になった人など、人生のあり方を見つめ直す友人が増えていったことが、自身の仕事のスタンスを変えていく後押しになったと語っていました。

その安藤さんが大切にしていることは、「WhatではなくHow」だと言います。会社員時代から、なぜ12時からランチに行かなければいけないのかなど、既存の働き方にたくさんの疑問を持っていたそうです。

当時は「自腹でノートパソコンを買うのでノマドワークさせてほしい」「原稿を持ってカフェで仕事させてほしい」といったことをたびたび上司にかけあっていたものの、結局社内では認めてもらうことができませんでした。どう働きたいか、人生をどうしたいかを徹底的に考えた結果、個人でやるしかないという結論に至ったとのこと。「BEAMSで働いていたら違う人生だったかも?」と冗談が飛び出す場面もありましたが、いまも自分に「How」を問い続けながら働いているとのことでした。

これを受けた土井地さんも、「BEAMSも全員が自由気ままにやっているわけではないですが」と前置きしつつ、大切なのは「らしさが出るか」だと言います。「らしさ」は100人いれば100通り。安藤さんのように「how」を大事にすることで、会社という組織のなかであっても働き方を大きく変えることはできるのではないかと意見を述べました。

LIFORK OTEMACHIに併設されたバイクポート。丸の内までの自転車通勤が可能
LIFORK内はさまざまなタイプのスペース、座席が設置されているため、自分の好みや気分に合わせた使い方ができる

夫婦2人で1.5人分働く。オランダに浸透する考え方「ワークシェアリング」とは?

ここで話題は三人が見てきた海外の働き方へ移ります。土井地さんは1か月前に訪れたというオーストラリアのメルボルンのスタイルを紹介。イギリスの雑誌『エコノミスト』が発表する「世界で最も住みやすい都市ランキング(Global Liveability Ranking)」で7年連続1位になっているメルボルンでは、16時退社が一般的で、終業後から晩御飯までの間に子どもと遊んだり、ゴルフをしたり、自由な時間を楽しむことが人々の活力の源になっているそうです。

山下さんによると、オーストラリアは時間と場所を自由に選択できる働き方「アクティビティー・ベースド・ワーキング」の導入が世界トップクラスに進んでいるとのこと。旧来型の働き方というイメージが強い金融機関においても、誰もスーツを着ていなかったり、自宅作業でオフィスにほとんど人がいなかったりすることも珍しくないそうで、世界各国の働き方を見てきた山下さんでさえ「かなりカルチャーショックを受けた国」と印象を語っていました。

安藤さんも、大学時代に留学していたオランダのアムステルダムの例を紹介。オランダでは当時からすでに、労働者一人ひとりの勤務時間を短縮することで、社会全体の雇用者数の増加を目指す「ワークシェアリング」の考え方が一般的になっていたとのこと。同じ会社のなかでもフルタイムで働く人、子育てで時短勤務をする人、起業準備で週3日だけ働く人などが入り混じっていたそうです。

もともと労働力不足が深刻だったオランダでは、仕事を重視しすぎて家庭崩壊する例が多かったことを踏まえ、パートタイムワーカーとフルタイムワーカーの賃金格差を解消する法改正が行われました。そこから「夫婦2人で1.5人分働こう」という考え方が浸透し、ワークシェアリングが社会に普及していったそうです。

これについて安藤さんは「最初に知ったときはわけがわからなかった」と振り返りますが、ライフステージに合わせて柔軟に働き方を選択する文化との出会いが、その後の自身の考え方にも影響を及ぼしたと言います。

生活の速度を落として、違った価値観に触れる。「居場所」を変えることの重要性

世界の事例を紹介したあと、話題は東京のワークスタイルの変化へ。土井地さん、安藤さんともに、近年は身近な人が東京から少し離れ、鎌倉、逗子、葉山といった、東京へのアクセスも良く自然豊かな湘南エリアに相次いで引っ越していることを報告しました。土井地さんは移住に踏み切った方々から、口を揃えたように「東京の速度から距離を置くことで価値観やものの見方を変えたかった」という理由を聞いたそうです。

印象的だったのが「東京では何事もほかの街の2倍速で動いている」という言葉。土井地さんは、効率的に素早く物事が動くことにはメリットがある一方で、精神的な負担も大きいため、「もう少しゆっくり働きたい」「ゆったりした生活の時間を大事にしたい」と感じる人が増えているのではないかと推測。また、都心への通勤時間にかかる時間を読書などの時間にあてることで、それまでと見方を変えるきっかけにできるのではないかとも話しました。

住む場所、働く場所の話が出たところで、安藤さんは「サードプレイス」と呼ばれる、「自宅でもないオフィスでもない第三の場所」の持つ可能性についても言及します。じつは安藤さん、会社をやめフリーランスになってしばらくは自宅をオフィスとしていたものの、最初の5か月は仕事がなく、昼近くに起きてはため息をつくばかりだったそうです。孤独と貯金残高の減少に頭を抱えていたときに、縁あってシェアオフィスを使うことになり、そこからさまざまなつながりが生まれて道が拓けたとのこと。そうした自身の体験もあり、安藤さんは「シェアオフィスは自分の救いになった」と、第三の場所を持つことの重要性を語りました。

現状にプラスワン。仕事の環境を変えることで得られる経験の価値は高い

ここまでノンストップでしゃべり続けた三人のトークは、来場者との質疑応答タイムへ。最初の質問は、「BEAMSはスタッフのライフスタイルを提示することで、安藤さんは個人の魅力を最大限に発揮することで、それぞれファンのコミュニティーを醸成している。コミュニティーづくりにおけるアドバイスを教えてほしい」というもの。

安藤さんは「何かを発信するところに人は集まる」と、ネット上に限らず、自分が好きなことを恥ずかしがらずに伝えることが大切だと回答。さらには自らが過去に実践したこととして、自身を表す3つのキーワードについて考えることをアドバイスします。

安藤さんの場合は「海外」「出版」「SNS」の3つ。それぞれを100人のなかで1位が取れるくらいまで磨くことで、「100×100×100=100万人のなかの1位」になれるという理論を紹介。そうした努力をしたうえで自分を発信すれば、「そういえば、あれ詳しかったよね」と声をかけられる機会が増え、結果的にコミュニティーも広がっていくと自身の体験を語りました。

土井地さんの回答は「環境を変えることが大切」だというもの。BEAMSでも組織にとらわれることなく、各メンバーがそれぞれ異なる環境に身を置くことで、既存のルールでは生まれなかった新しいアイデアが数多く生まれたと語りました。

LIFORKのようなシェアスペースについても、新しい出会いの場としてだけでなく、コーヒーの香りを楽しみながらラウンジでパソコンを打つ、バイクポートを活かして自転車で通勤してみるなど、環境に変化を与えるきっかけの場として使ってみては、と提案した土井地さん。現状に何かしらプラスワンすることで、いままでと違う経験ができると、自らも働くうえで意識している考えを紹介してくれました。

これからは「思い出」「お布施」にお金を払う時代がやってくる

続いて会場から挙がったのは「これから人々は、どういったものにお金を使うと思いますか?」という質問。これに対して山下さんは、「納得できる、正直なものに対してお金を払う人が増えている」と回答。例に挙げられたのは、アメリカのアパレル企業Everlane。商品製造にかかるすべての原価を公開していることが特徴で、その透明性の高い姿勢が若い世代の共感を集め、ファンを獲得しているそうです。2010年の創業ながら2017年末の時点で会員数が100万人を超えるなど、急成長中の企業として注目を浴びています。

土井地さんは「若い人は遊びに行かないといわれていますが、本気のものにはお金を使う。その意味では、昔よりも熱量があるのではないか」と話します。例として昨今の音楽フェスブームを挙げました。特に『FUJI ROCK FESTIVAL』のような大型イベントに3日間参加した場合、交通費を含めて10万円前後のお金がかかるにもかかわらず、1年かけてお金を貯めて参加する若者も少なくないことを説明。「せっかく参加したのだから、思いっきり楽しもう」という姿勢は、「思い出」に価値を感じてお金を支払っているのではないかとつけ加えます。

さらに安藤さんは、土井地さんの「思い出」に加え、「お布施」というキーワードを挙げました。宗教的な意味ではなく、好きなアーティストのCDを買う、好きなYouTuberの動画を見るなど、自分が共感する個人や企業を応援する行為は、広義の意味で「お布施」といえるのではないかと昨今の風潮を解説。メンバーとの交流を行う有料のオンラインサロンを運営している安藤さんの、リアルな感覚として見解を聞かせてくれました。

これからの働き方について、さまざまな示唆が得られる内容となった白熱のトーク。その後はレセプションパーティーが行なわれ、来場者同士が交流しました。人気音楽プロデューサーFPMの田中知之さん、DJ HICOさんら豪華DJによる音楽や、「LIFORK OTEMACHI」の内装のほかさまざまな飲食店のプロデュースを行うTRANSIT GENERAL OFFICEが手がけたフード&ドリンクが場を盛り上げました。

大手町には、せわしない時間が流れるビジネス街というイメージを持っていた方も多いかもしれません。しかしLIFORKが大手町から提案したいのは、そうした従来の一元的なイメージにとらわれない、多様で自由な働き方。新しいLIFEとWORKのスタイルをLIFORKで見つけませんか?

TRANSIT GENERAL OFFICEによるドリンク&フードケータリング
ゲストDJとして会場を盛り上げたHICOさん
FPMの田中知之さん
OBSCURA COFFEE ROASTERSのコーヒーが会場でドリップされ、来場者に振る舞われた
TRANSIT GENERAL OFFICEによるドリンク&フードケータリング
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